できる娘に甘えてきた道太郎は何をしても失敗ばかり。暇を持て余して家で飲んだくれる繰り返しに、父の自活を画策する弓子はイライラと見守るしかない。そんな時、元上司の並木(平泉成)が道太郎を気遣って、早朝のラジオ体操会に誘い出す。「俺たちの人生はこれからだ!」と先輩風をふかしていた並木だが、突然、ぽっくりと逝ってしまうのだった。
並木の貴重な忠告に従って、とりあえず1日1度は外出することにした道太郎は、海沿いの公園へ向かう。するとラジオ体操会で見かけた女性が海を見つめて泣いている姿を目撃し、つい後を追う。彼女は喫茶店“オリビエ”の店主兼ラジオ体操会のマドンナ・のぞみ(和久井映見)だった。「朝から体を動かすとスッキリしますよ」と、笑顔で五十鈴灯台ラジオ体操会のチラシを渡された道太郎は、翌朝、いそいそと公園へ出掛けていく。
会長で便利屋を営む神田(きたろう)のもとに集まるのは、ラジオ体操会の副会長であり指導士の木島(徳井優)が結成した“のぞみ親衛隊”の定年3人組、商店街の「シンジョーミート」の新庄さんら“美女”3人組や小学生の詩織など年齢も職業もバラバラ。広い海を眺めながらのラジオ体操と、その後、のぞみの喫茶店でみんなと一緒に食べるモーニングセットは、道太郎の沈んだ心を温かくしてくれた。その場の勢いで神田の便利屋でバイトすることになり、早速、年下の先輩で天体観測が趣味の薫(渡辺大知)と2人で町の困り事に走り回る。
思いがけずあっさりと地域デビューを果たせて大張り切りの道太郎は、神田が怪我で体操会を欠席中にラジオ体操会の改革に着手。ところが、次期会長の座を狙う木島の怒りを買い、体操会は分裂してしまう。会長代理を任されたのぞみは、新たなメンバー確保の名目で、弓子に「お父さんとの思い出作りに」と声をかけた。冷たく断られても「親子ってずっと一緒にいられるわけじゃないんだよ」と必死に訴えるのぞみ。父の支えを卒業して自立の道を歩み始めた弓子にとって、彼女の言葉は胸に深く浸みていった。
新しい朝が来た。道太郎が見たものは……。